2004年の野球において、メジャーリーグベースボール(MLB)のポストシーズンは10月5日に開幕した。ナショナルリーグの第35回リーグチャンピオンシップシリーズ(英語: 35th National League Championship Series、以下「リーグ優勝決定戦」と表記)は、13日から21日にかけて計7試合が開催された。その結果、セントルイス・カージナルス(中地区)がヒューストン・アストロズ(同)を4勝3敗で下し、17年ぶり16回目のリーグ優勝およびワールドシリーズ進出を果たした。
両球団がポストシーズンで対戦するのはこれが初めて。この年のレギュラーシーズンでは両球団は18試合対戦し、アストロズが10勝8敗と勝ち越していた[1]。今シリーズは、サヨナラ本塁打によって決着した試合が2試合あるポストシーズン史上2度目のシリーズとなり[注 1]、またビハインドのチームが同点に追いつくか逆転した回数が10に達したポストシーズン史上4度目のシリーズにもなるなど[注 2]、試合展開のもつれたシリーズとなった[2]。ただ、同時期開催のアメリカンリーグ優勝決定戦でボストン・レッドソックスがニューヨーク・ヤンキースに対し、MLB史上初となる3連敗4連勝でのシリーズ制覇を達成したため、その影に隠れて今シリーズへの注目度は低かった[3]。シリーズMVPには、最終第7戦の6回裏に同点の適時二塁打を放ったうえ次打者の本塁打で勝ち越し・決勝のホームを踏むなど、7試合で打率.500・4本塁打・9打点・OPS 1.563という成績を残したカージナルスのアルバート・プホルスが選出された。しかしカージナルスは、ワールドシリーズではアメリカンリーグ王者レッドソックスに0勝4敗で敗れ、22年ぶり10度目の優勝を逃した。
試合結果
2004年のナショナルリーグ優勝決定戦は10月13日に開幕し、途中に移動日を挟んで9日間で7試合が行われた。日程・結果は以下の通り。
日付 | 試合 | ビジター球団(先攻) | スコア | ホーム球団(後攻) | 開催球場 |
10月13日(水) | 第1戦 | ヒューストン・アストロズ | 7-10 | セントルイス・カージナルス | ブッシュ・スタジアム | |
10月14日(木) | 第2戦 | ヒューストン・アストロズ | 4-6 | セントルイス・カージナルス |
10月15日(金) | | 移動日 | |
10月16日(土) | 第3戦 | セントルイス・カージナルス | 2-5 | ヒューストン・アストロズ | ミニッツメイド・パーク |
10月17日(日) | 第4戦 | セントルイス・カージナルス | 5-6 | ヒューストン・アストロズ |
10月18日(月) | 第5戦 | セントルイス・カージナルス | 0-3x | ヒューストン・アストロズ |
10月19日(火) | | 移動日 | |
10月20日(水) | 第6戦 | ヒューストン・アストロズ | 4-6x | セントルイス・カージナルス | ブッシュ・スタジアム |
10月21日(木) | 第7戦 | ヒューストン・アストロズ | 2-5 | セントルイス・カージナルス |
優勝:セントルイス・カージナルス(4勝3敗 / 17年ぶり16度目) |
第1戦 10月13日
映像外部リンク |
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MLB.comによる動画(英語) |
初回表、カルロス・ベルトランの2点本塁打でアストロズが先制(45秒) |
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R | H | E |
ヒューストン・アストロズ | 2 | 0 | 0 | 2 | 0 | 0 | 0 | 2 | 1 | 7 | 10 | 1 |
セントルイス・カージナルス | 2 | 0 | 0 | 0 | 2 | 6 | 0 | 0 | X | 10 | 12 | 0 |
- 勝:ウッディ・ウィリアムズ(1勝) 敗:チャド・クオルズ(1敗) S:ジェイソン・イズリングハウゼン(1S)
- 本塁打
HOU:カルロス・ベルトラン1号2ラン、ジェフ・ケント1号2ラン、ランス・バークマン1号2ラン、マイク・ラム1号ソロ
STL:アルバート・プホルス1号2ラン - 審判
[球審]ティム・ウェルキー
[塁審]一塁: エリック・クーパー、二塁: ゲイリー・ダーリング、三塁: マイク・ウィンタース
[外審]左翼: エンジェル・ヘルナンデス、右翼: エド・ラピュアーノ - 試合開始時刻: 中部夏時間(UTC-5)午後7時19分 試合時間: 3時間15分 観客: 5万2323人 気温: 61°F(16.1°C)
詳細: MLB.com Gameday / ESPN.com / Baseball-Reference.com / Fangraphs
第2戦 10月14日
映像外部リンク |
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MLB.comによる動画(英語) |
初回表、カルロス・ベルトランのソロ本塁打でアストロズが先制(57秒) |
スコット・ローレンが5回裏に逆転の2点本塁打、8回裏に6点目のソロ本塁打を放つ(2分5秒) |
第3戦 10月16日
映像外部リンク |
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MLB.comによる動画(英語) |
8回裏、先頭打者カルロス・ベルトランの本塁打でアストロズが点差を2点に広げる(1分17秒) |
一死後にランス・バークマンもソロ本塁打を放ち、アストロズが5点目を奪う(1分2秒) |
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R | H | E |
セントルイス・カージナルス | 1 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 | 5 | 0 |
ヒューストン・アストロズ | 3 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 | X | 5 | 8 | 0 |
- 勝:ロジャー・クレメンス(1勝) 敗:ジェフ・スーパン(1敗) S:ブラッド・リッジ(1S)
- 本塁打
STL:ラリー・ウォーカー2号ソロ、ジム・エドモンズ1号ソロ
HOU:ジェフ・ケント2号2ラン、カルロス・ベルトラン3号ソロ、ランス・バークマン2号ソロ - 審判
[球審]ゲイリー・ダーリング
[塁審]一塁: マイク・ウィンタース、二塁: エンジェル・ヘルナンデス、三塁: エド・ラピュアーノ
[外審]左翼: ティム・ウェルキー、右翼: エリック・クーパー - 試合開始時刻: 中部夏時間(UTC-5)午後3時25分 試合時間: 2時間57分 観客: 4万2896人 気温: 74°F(23.3°C)
詳細: MLB.com Gameday / ESPN.com / Baseball-Reference.com / Fangraphs
第4戦 10月17日
映像外部リンク |
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MLB.comによる動画(英語) |
6回裏、先頭打者ランス・バークマンの本塁打でアストロズが1点差に迫る(1分) |
7回裏、カルロス・ベルトランのソロ本塁打でアストロズが勝ち越し(57秒) |
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R | H | E |
セントルイス・カージナルス | 3 | 0 | 1 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 5 | 9 | 0 |
ヒューストン・アストロズ | 1 | 0 | 2 | 0 | 0 | 2 | 1 | 0 | X | 6 | 9 | 0 |
- 勝:ダン・ウィーラー(1勝) 敗:フリアン・タバレス(1勝1敗) S:ブラッド・リッジ(2S)
- 本塁打
STL:アルバート・プホルス3号2ラン
HOU:ランス・バークマン3号ソロ、カルロス・ベルトラン4号ソロ - 審判
[球審]マイク・ウィンタース
[塁審]一塁: エンジェル・ヘルナンデス、二塁: エド・ラピュアーノ、三塁: ティム・ウェルキー
[外審]左翼: エリック・クーパー、右翼: ゲイリー・ダーリング - 試合開始時刻: 中部夏時間(UTC-5)午後3時40分 試合時間: 3時間1分 観客: 4万2760人 気温: 74°F(23.3°C)
詳細: MLB.com Gameday / ESPN.com / Baseball-Reference.com / Fangraphs
第5戦 10月18日
映像外部リンク |
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MLB.comによる動画(英語) |
アストロズの先発投手ブランドン・バッキーが8イニングを無失点に抑える(2分6秒) |
9回裏、ジェフ・ケントの3点本塁打でアストロズがサヨナラ勝利(1分5秒) |
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R | H | E |
セントルイス・カージナルス | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 |
ヒューストン・アストロズ | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 3x | 3 | 3 | 0 |
- 勝:ブラッド・リッジ(1勝2S) 敗:ジェイソン・イズリングハウゼン(1敗2S)
- 本塁打
HOU:ジェフ・ケント3号3ラン - 審判
[球審]エンジェル・ヘルナンデス
[塁審]一塁: エド・ラピュアーノ、二塁: ティム・ウェルキー、三塁: エリック・クーパー
[外審]左翼: ゲイリー・ダーリング、右翼: マイク・ウィンタース - 試合開始時刻: 中部夏時間(UTC-5)午後7時51分 試合時間: 2時間33分 観客: 4万3045人 気温: 74°F(23.3°C)
詳細: MLB.com Gameday / ESPN.com / Baseball-Reference.com / Fangraphs
第6戦 10月20日
映像外部リンク |
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MLB.comによる動画(英語) |
初回裏、アルバート・プホルスの2点本塁打でカージナルスが逆転(49秒) |
3回表、クレイグ・ビジオのライナーを遊撃手エドガー・レンテリアがジャンピングキャッチ(36秒) |
その裏、レンテリアの適時打でカージナルスが2点勝ち越し(45秒) |
4回表、左前へ抜けようかというアダム・エバレットの打球をレンテリアがダイビングキャッチし遊ゴロに(46秒) |
その裏、スコット・ローレンの二塁打で一塁走者プホルスが生還を狙うも本塁憤死(51秒) |
7回表、カルロス・ベルトランが右翼フェンス直撃の単打を放つ(46秒) |
9回表二死一・二塁、ジェフ・バグウェルの適時打でアストロズが4-4の同点に(46秒) |
アストロズの抑え投手ブラッド・リッジが9回裏から3イニングでひとりの出塁も許さず(1分16秒) |
延長12回裏、ジム・エドモンズがダン・ミセリから2点本塁打を放ちカージナルスがサヨナラ勝利(1分11秒) |
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | R | H | E |
ヒューストン・アストロズ | 1 | 0 | 1 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 4 | 10 | 0 |
セントルイス・カージナルス | 2 | 0 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2x | 6 | 15 | 0 |
- 勝:フリアン・タバレス(2勝1敗) 敗:ダン・ミセリ(2敗)
- 本塁打
HOU:マイク・ラム2号ソロ
STL:アルバート・プホルス4号2ラン、ジム・エドモンズ2号2ラン - 審判
[球審]エド・ラピュアーノ
[塁審]一塁: ティム・ウェルキー、二塁: エリック・クーパー、三塁: ゲイリー・ダーリング
[外審]左翼: マイク・ウィンタース、右翼: エンジェル・ヘルナンデス - 試合開始時刻: 中部夏時間(UTC-5)午後3時12分 試合時間: 3時間54分 観客: 5万2144人 気温: 57°F(13.9°C)
詳細: MLB.com Gameday / ESPN.com / Baseball-Reference.com / Fangraphs
第7戦 10月21日
映像外部リンク |
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MLB.comによる動画(英語) |
初回表、クレイグ・ビジオの先頭打者本塁打でアストロズが先制(51秒) |
2回表一死一・二塁、ブラッド・オースマスが放った飛球を中堅手ジム・エドモンズが背走しながらキャッチ(1分2秒) |
6回裏、アルバート・プホルスの適時二塁打でカージナルスが同点に(45秒) |
次打者スコット・ローレンの2点本塁打でカージナルスが勝ち越し(1分18秒) |
9回表、ジェイソン・イズリングハウゼンがホセ・ビスカイーノを二ゴロに仕留めて試合終了、カージナルスのリーグ優勝が決定(1分52秒) |
| 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | R | H | E |
ヒューストン・アストロズ | 1 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 | 3 | 0 |
セントルイス・カージナルス | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 3 | 0 | 1 | X | 5 | 9 | 1 |
- 勝:ジェフ・スーパン(1勝1敗) 敗:ロジャー・クレメンス(1勝1敗) S:ジェイソン・イズリングハウゼン(1敗3S)
- 本塁打
HOU:クレイグ・ビジオ1号ソロ
STL:スコット・ローレン3号2ラン - 審判
[球審]ティム・ウェルキー
[塁審]一塁: エリック・クーパー、二塁: ゲイリー・ダーリング、三塁: マイク・ウィンタース
[外審]左翼: エンジェル・ヘルナンデス、右翼: エド・ラピュアーノ - 試合開始時刻: 中部夏時間(UTC-5)午後7時21分 試合時間: 2時間51分 観客: 5万2140人 気温: 60°F(15.6°C)
詳細: MLB.com Gameday / ESPN.com / Baseball-Reference.com / Fangraphs
評価
『ハードボール・タイムズ』のクリス・ジャフは2011年10月、歴代のポストシーズン各シリーズについて、面白さの数値化を試みた。「1点差試合は3ポイント、1-0の試合ならさらに1ポイント」「サヨナラゲームは10ポイント、サヨナラが本塁打によるものならさらに5ポイント」「7試合制のシリーズが最終戦までもつれれば15ポイント」などというように、試合経過やシリーズの展開が一定の条件を満たすのに応じてポイントを付与することで、主観的ではなく定量的な評価を行った。その結果、その年の両リーグ優勝決定戦まで全262シリーズの平均が45ポイントのところ、今シリーズは114ポイントを獲得した。これは全シリーズ中8位、リーグ優勝決定戦に限れば4位の高得点だった[注 3][2]。
脚注
注釈
出典
- ^ "Head-to-Head Records," Baseball-Reference.com. 2021年6月6日閲覧。
- ^ a b Chris Jaffe, "The top ten postseason series of all-time," The Hardball Times, October 24, 2011. 2021年6月6日閲覧。
- ^ Alyson Footer, "2004 NLCS: Recalling a forgotten classic," MLB.com, October 5, 2018. 2021年6月6日閲覧。
外部リンク
- Baseball-Reference.com(英語)
- 2004 National League Championship Series - IMDb(英語)
- 動画共有サイト "YouTube" にMLB公式アカウントが投稿した試合映像
- 第6戦:2004 NLCS, Game 6: Edmonds Walks Off to Game 7
- 第7戦:2004 NLCS, Game 7: Astros at Cardinals
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- 2038
- 2039
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セントルイス・カージナルス |
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球団 | |
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歴代本拠地 | |
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永久欠番 | |
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カージナルス球団殿堂 | |
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ワールドシリーズ優勝(11回) | |
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ワールドシリーズ敗退(08回) | |
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リーグ優勝(19回) | |
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できごと | |
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傘下マイナーチーム | |
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ヒューストン・アストロズ |
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球団 | |
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歴代本拠地 | |
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文化 | |
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永久欠番 | |
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ワールドシリーズ優勝(2回) | |
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ワールドシリーズ敗退(3回) | |
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リーグ優勝(5回) | |
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できごと | |
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傘下マイナーチーム | |
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