水晶島

水晶島
外交紛争のある諸島
現地名: Остров Танфильева
主張国名: 水晶島
地理
北緯43度26分19.1秒 東経145度55分3秒 / 北緯43.438639度 東経145.91750度 / 43.438639; 145.91750座標: 北緯43度26分19.1秒 東経145度55分3秒 / 北緯43.438639度 東経145.91750度 / 43.438639; 145.91750
実効支配
 ロシア
サハリン州の旗 サハリン州
都市管区 南クリル管区
領有権主張
 日本
都道府県 北海道
市町村 根室市
人口統計
人口0

水晶島(すいしょうじま)は、歯舞群島の島の一つ。ロシア名タンフィリエワ島(Остров Танфильева)。

島名の由来は、アイヌ語の「シ・ショウ(大きい裸岩)」が「シーショウ→水晶」に変化したことから。ロシア語名はウクライナのオデッサ出身の地理学者ガブリール・イワーノビチ・タンフィリエフ(Гавриил Иванович Танфильев)にちなむ。

地理

全体的に平坦な小島であり、納沙布岬から珸瑤瑁水道を隔てて7キロメートルの距離にあり、貝殻島(3.7キロメートル)に次いで2番目に北海道本島に近い。面積は21平方キロメートルで、歯舞群島の中では志発島に次ぐ。

歴史

江戸時代の当初は無人島であった。

  • 1799年、ネモロ(根室)とアッケシ(厚岸)両場所のアイヌが立会い、秋勇留島などとともに双方の入会地となり、後にネモロ側の漁場となった[1]
    • 明治時代からは珸瑶瑁村の一部となり、後に歯舞村に属した。戦前は700人ほどが定住していた。居住者の大半は漁業を営んでおり、コンブ漁が7割以上を占めた。カニ、サケ、マスの水産資源も豊富であり、缶詰加工もなされた。島の北側にある税庫港は天然の良港であり、5、60トン級の船舶が60隻繋留することができた。春には、新潟県、富山県を中心とする道外からの季節労働者も受け入れていた。
  • 1945年ソ連軍侵攻を受け、占領される。1947年9月中旬に島民は一旦志発島に送られ、引揚船で樺太を経由して北海道へ送られた[2]
  • 1959年、日本側は根室市の一部に編入する。
  • 1991年、ソ連崩壊後に成立したロシア連邦実効支配を継承。
  • 1994年3月8日、水晶島に駐留するロシア太平洋国境警備軍管区クリル部隊の隊員2名が、部隊の寝室で自動小銃を乱射し、6名が死亡、3名が怪我をする事件が発生。その後、身柄を拘束された隊員は、「先輩兵士のいじめへの報復」と話した[3]。モスクワで会見したニコラエフ国境警備隊総司令官は、犯人の動機を「日本への逃亡」と述べたうえで「国境警備隊のヘリか哨戒機を奪う目的で同僚を襲った」と述べた[4]
  • 2000年以降、ロシア当局によりロシア正教の教会や聖人像が建てられている[5]

現在もロシア連邦が占領・実効支配している。日本側は北海道の一部として領有権を主張している。

納沙布側の岬にロシア国境警備隊の施設があり、船も停泊できる。また、島内各所にレーダー基地などの軍事施設があり、ロシア側にとっては国境最前線の島としての機能を果たしている。

当該地域の領有権に関する詳細は千島列島及び北方領土の項目を、現状に関してはサハリン州の項目を参照。

住民

ロシア国境軍水産加工会社社員が交代で常駐しているのみである。現在、水晶島における定住民は存在しないとされている。

2010年12月31日には、常駐していた複数の水産加工会社社員が年越しパーティーを行っている最中に23人がメチルアルコールを飲み、中毒を起こして4人が死亡する事件が発生した[6]

2011年2月5日には、水晶島から立ち上る原因不明の黒煙が確認された[7]

ギャラリー

脚注

[脚注の使い方]
  1. ^ 『場所境調書』
  2. ^ “元島民が語る「北方領土」 舛潟 喜一郎 歯舞群島(水晶島)出身”. 独立行政法人北方領土問題対策協会. 2020年11月7日閲覧。
  3. ^ 「寝室で銃乱射、同僚6人殺す 北方領土のロシア国境警備隊員」『朝日新聞』、1994年3月10日、朝刊。
  4. ^ 「「日本逃亡が犯行の動機」歯舞のロシア警備隊員乱射事件で当局者」『朝日新聞』、1994年3月16日、夕刊。
  5. ^ “水晶島に3メートルの聖人像/ロシア、「自国領」誇示”. SHIKOKU NEWS (四国新聞社). (2007年7月26日). https://www.shikoku-np.co.jp/national/international/20070726000269 2022年12月23日閲覧。 
  6. ^ “北方領土・水晶島でメチル酒盛り、露の4人死亡”. YOMIURI ONLINE (読売新聞社). (2011年1月5日). オリジナルの2011年1月8日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20110108194211/http://www.yomiuri.co.jp:80/world/news/20110105-OYT1T00942.htm 2022年12月23日閲覧。 
  7. ^ “歯舞・水晶島から黒煙「高さ20メートル以上」”. YOMIURI ONLINE (読売新聞社). (2011年2月5日). オリジナルの2011年2月8日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20110208223259/http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20110205-OYT1T00486.htm 2022年12月23日閲覧。 

参考文献

  • 『北方領土地名考』 北方領土問題対策協会編、1978年
  • 『北方領土関係資料総覧』 行政資料調査会北方領土返還促進部、1977年11月4日

関連項目

北方四島についても、便宜上ここに記述する。
千島列島(狭義)
島々
千島アイヌの領域
チュプカ諸島
島々
道東アイヌの領域
海峡
地形
日本における行政区分
ロシアにおける行政区分
北方領土
島々
道東アイヌの領域
海峡
地形
日本における行政区分
ロシアにおける行政区分
周辺の海
北方領土問題関連
関連項目
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