この項目では、J-20について説明しています。
J-20 (殲撃20型、歼 -20“威龙”)Chengdu J-20
長春航空ショーでのJ-20A (2022年)
J-20 は、中国航空工業集団公司 が中国人民解放軍空軍 のために開発した双発ステルス 制空戦闘機 。アジア で運用開始された第5世代ジェット戦闘機 としては初のものである[4] 。
中国語 では殲-20 (歼 -20、ピンイン :Jiān-20)または殲撃20型 と呼び、欧米 メディアではChengdu J-20 とも表記される。「殲撃」の発音は「ジエンジー」に近い。Chengdu(成都)は、テスト飛行場を所有する成都飛機工業公司 または所在地の四川省 成都 が由来。「殲-20(J-20)」という名称はメディア報道によるもので、正式名称は当時不明であった。2016年10月28日、中国人民解放軍空軍の公式メディア「空軍発布(空军发布)」が中国の新浪微博で初めて「殲-20飛行機」(歼-20飞机)という名称を使い、「殲-20(J-20)」という表記は正式名称として定着した。開発時のコードネーム を「鯤鵬」(こんぽう=伝説上の巨鳥)とする報道もある[5] が、実際のコードネーム は「鯤鵬」ではなく、「威龍(威龙)」である。「鯤鵬」は中国の大型輸送機Y-20 (航空機)のコードネーム である。
正式な愛称ではないが、J-20を含むJ-XXとして開発された機体のいくつかは、中国 の軍事 マニアからは「絲帯(絲帶 /丝带 、リボン の意)」と呼ばれている。これは、第5世代機の中国での呼び方である四代機(四代机 )の「四代」と「絲帯」の発音が類似すること(四代はsìdài、絲帯はsīdài)と、これらの機体の胴体が薄く平らな印象を与えることに由来している。
概要 J-20は、1990年代 にコードネーム J-XXとして開発されたステルス機 の1つで、第5世代とされる。#2001および#2002と呼ばれる2つの原型機 が2010年 末までに製作された[6] 。成都市の成都飛機工業公司 テスト飛行場敷地内で飛行を伴わない地上走行が確認されたとされ[7] [8] 、また、その容姿は2010年末に非公式の軍事関連のウェブサイト にJ-20のものと思われる画像が掲載されたことで明らかになった[7] 。2011年 1月11日 に初飛行に成功したと公表され、赤い星 に金の縁取りの国籍マーク (フィンフラッシュ )がある全面黒色の電波吸収 塗装のこの1号機(技術実証機)は機首の番号から「2001号機」と呼ばれた[9] [10] 。2012年 には2つ目の原型機「2002号機」も初飛行が報じられた[11] [12] 。
中国空軍 首脳は2009年 時点において、中国初のステルス戦闘機 がまもなくテスト飛行の段階に入ると述べており、その8-10年後に配備されるであろうとしていた[7] 。
2011年1月23日 に1999年 のコソボ紛争 で撃墜されたF-117の残骸から得られたステルス の技術情報がJ-20といったステルス機などに使用されたと紛争当時のクロアチア陸軍 参謀総長 だったドマゼット=ロソ(クロアチア語版) が主張したことを各国メディアは報じ、25日に中国の環球時報 はこれに反論した[13] [14] [15] 。また、アメリカ国防総省 のジェフ・モレル(英語版) 報道官も同年1月26日 の会見で過熱ぎみな脅威論に懐疑的な見方を示し、F-117の技術を盗用したとする報道にも否定的な見解を示した[16] 。
F-35やB-2などステルス機の開発データを標的に設計者のノシル・ゴワディア らのスパイ 行為や中国のハッカーがサイバー攻撃 していることが度々指摘されているが、関連性は現時点で不明である[17] [18] 。
2016年11月1日、広東省珠海で開催された中国国際航空宇宙博覧会で初公開。2機によるデモンストレーション飛行も公開された[19] 。
J-20はアクティブ電子走査アレイ(AESA) レーダーを搭載しており、J-20のAESAレーダーは約2,000-2,200個の送受信モジュールを備え出力電力は24kWに達する[20] 。送受信モジュール数及び出力電力の大きさはF-22が搭載しているAN/APG-77 を上回っているため、J-20が搭載しているAESAレーダーはAN/APG-77より探知距離が長いと推測されている[20] 。また、J-20はF-35のAN/AAQ-37 EO-DASに酷似した分散開口システム(DAS)を採用しており、機体各部に複数のセンサーを備えている[21] [22] 。機首下面にはF-35と同じくEOTS(EOTS-86)も備えているが、空対空目標の捕捉・照準に比重を置いていると指摘されている[23] 。
中国中央電視台 は2017年 3月9日 、空軍に実戦配備されたと伝え[24] 、9月28日には国防部も就役を発表した[25] 。
2018年 9月6日 、中央日報 はJ-20が今年末にも量産体制に入る見込みだと報じた[26] 。また、9月9日 にはRecord China はJ-20が年間40機生産される可能性があると報じている[27] 。
中国 メディアによるとJ-20は2019年に東部戦区 に配備され、2022年4月12日に記者会見した中国航空工業集団 幹部は東シナ海 や南シナ海 での飛行訓練が常態化していると語った[28] 。
設計 J-20 J-20とされる原型機は、ロシア スホーイ のSu-57や、アメリカ ロッキード・マーティン のF-22 ラプターより一回り大きく見え、エンジン はロシア提供によるサトゥールン 117S(AL-41F1S )ターボファンエンジン 2基を搭載している可能性を欧米 メディアは伝えている[29] 。しかし、写真を見る限り排気ノズルには推力偏向機構は付けられていない。
『戦闘機年鑑2013-2014』によると、エンジンは試作初号機ではサトゥールン 117Sターボファンエンジンが使われていると見られる。また、中国は殲撃20型用の新ターボファンエンジンWS-10Gを開発しており、試作2号機にはそのエンジンが付けられているという。
『アヴィエーションウィーク&スペーステクノロジー 』にて航空専門家のビル・スィートマンによると、2機の原型機は排気ノズルの形状の違いから、一つはAL-31Fで、もう一つは中国製のWS-10Aだという(WS-15だという資料もある)。
機首の断面はF-22に似た菱形に近い形状だが、エアインテーク の形状はF-22と違い、F-35のようにDSI (ダイバーターレス・スーパーソニック・インレット)を採用している。DSIはアメリカが1996年 にF-16を改造してテストした技術[30] であり、後にF-35に採用されたものであるが、最初に量産された機体は中国とパキスタン が共同開発したFC-1である。その後、中国ではJ-10Bや改修されたJL-9と次々新型機に採用されており、近年の中国機の特徴の一つとなっている。DSIはステルス性 に優れているが、実際に採用したF-35やFC-1の最高速度がM1.7とM1.8 だった事もあり、高速時のエンジン効率が下がると言われている。しかし、F-16のテスト機で試験した時、旧式のダイバーター方式を採用した通常のF-16と同じ最高速度M2.0を達成し、通常の機体と同じ飛行性能を発揮[30] しており、実際にどれほど飛行性能や速度に影響があるかは不明である。
J-20は、翼はカナード と後縁に緩い前進角を持つデルタ翼 に近い主翼を組み合わせたクロースカップルドデルタ翼 を採用している。タイフーン やラファールといった欧州 機によく見られる形式であり、中国機でもJ-10が用いているが、実用化した機体の多くは単垂直尾翼 で、外側に傾斜した小さめの双垂直尾翼およびベントラルフィンとの組み合わせはミコヤン の試作した1.44に近い[31] 。
また、ステルス性 のために、垂直尾翼およびベントラルフィンの傾斜は胴体側面の角度と等しくなっている。カナードと垂直尾翼は全遊動式であり、垂直尾翼は90度近くまで作動することからYF-23の尾翼と同様にエアブレーキの機能を持つと見られる。
J-20のレーダー反射断面積 (RCS)はF-117と同程度(0.025㎡)と推測されている[32] 。
第5世代機では世界初となる複座型が製作され、追加された乗員は、搭載センサーの情報処理や随伴無人機(オーストラリア軍でいうMQ-28 ゴーストバット )の管理等を行うと推測されている[33] 。
要目(推定値) 三面図 情報源[34] [35]
乗員:1名 全長:21.2m 全幅:13.01m 全高:4.69m ホイールベース :6.7m ホイールトラック:3.6m 主翼面積:59m2 カナード 翼面積:7.8m2 (合計) 垂直安定板面積:8.9m2 (合計) 空虚重量:17,000kg 最大離陸重量:36,300kg エンジン:AL-31F-M2 /WS-10C (ターボファンエンジン) ×2 エンジン:WS-15 (ターボファンエンジン) ×2(開発中[36] ) 最大速度:M 2.0 実用上昇限度:20,000m(66,000 ft)[37] 戦闘行動半径:2,000 km (1,200 mi, 1,100 nmi)[37] 最大航続距離:5,500 km (3,400 mi, 3,000 nmi) with 2 external fuel tanks[37] 模型 2001号機の初飛行が報じられてから4ヶ月余り後の2011年 5月に、香港 の模型メーカードラゴンモデルズ から1/144スケールのプラモデル が発売された。細部の省略が可能な小型モデルとは言え、ネット上に地上テストの映像がリークされてからでもほぼ5ヶ月という短期間で射出成形 キットが発売されるのは極めて異例である。メーカーはメディアの公開以前からキット開発をスタートしたとしている。キットの形状は公開されている写真と大きな相違はなく、胴体下面には写真ではかすかにしか確認できないウェポンベイ [38] が筋彫りで表現されている。キットの大きさは長さがピトー管 を含まずに153mm、幅が93mm程で、144倍するとそれぞれ22.0m、13.4mとなる。
登場作品 映画 『スカイハンター 空天猟』 中国空軍の秘密部隊に所属する主人公が搭乗。 中国軍広報部が全面協力しており、多くのシーンに実機が使われている。 漫画 『空母いぶき 』 現実には無い艦上戦闘機 型が登場。 作中では中国海軍の架空の空母「広東」に搭載され、「広東」を中核とする北海艦隊 空母機動部隊の航空戦力として、架空の航空機搭載護衛艦「いぶき」を旗艦とする海上自衛隊第5護衛隊群及びその航空戦力であるF-35JBと交戦する。 ゲーム 『コール オブ デューティ ブラックオプス2 』 2025年 の中国空軍の主力戦闘機として改良型が登場する。 『バトルフィールド4 』 中国軍のステルス戦闘機として登場し、プレイヤー操縦も可能。 『Modern Warships 』 プレイヤーが操作可能な艦載機として登場する。 脚注 [脚注の使い方 ]
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レシプロ 機 × La-9 × La-11 × Yak-9 × Yak-17 × P-47 × P-51 ジェット 機 × J-2 × J-5 × J-6 J-7 J-8/J-8II × J-9 × J-10/J-10 × J-11/J-11 × J-12 × J-13(英語版) J-15 J-16 J-20 {J-31} × MiG-9 × MiG-15 Su-27 Su-30 Su-35
攻撃機
爆撃機
レシプロ 機ジェット 機 × H-5 H-6 JH-7 × Tu-2 × Tu-4 × Il-28 × Tu-16
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