金属石鹸

曖昧さ回避 この項目では、ナトリウム・カリウム以外の脂肪酸塩について説明しています。石鹸の形状をしたステンレス鋼の塊については「ステンレスソープ」をご覧ください。

金属石鹸(きんぞくせっけん)は、長鎖脂肪酸と、ナトリウムカリウム以外の金属塩の総称。

性質

水に不溶である。そのため洗浄力はないと言ってよい。反面、非極性有機溶剤への溶解性や樹脂との相溶性は比較的高い。多くは融点100℃以上であるが、脂肪酸の鎖長や、金属の種類によっては、常温でペースト状を示すものもある。滑性を示すものが多い。金属の種類によって様々な色を呈するが、工業的に用いられるものは白色のものが多い。浴室用品などにこびりつくいわゆる石鹸かすも、カルシウム塩やマグネシウム塩等の金属石鹸である。

代表的な金属石鹸

ステアリン酸ラウリン酸リシノール酸、オクチル酸などの脂肪酸と、リチウムマグネシウムカルシウムバリウム亜鉛などの金属が使われる。下記に挙げたうち、ステアリン酸・ラウリン酸の金属塩は常温で白色微粉末、リシノール酸の金属塩は淡黄色の粉末、オクチル酸亜鉛は無色の粘性のある液体。

  • ラウリン酸カルシウム - Ca(OCOC11H23)2 融点210-220℃
  • ラウリン酸バリウム - Ba(OCOC11H23)2 融点230℃以上
  • ラウリン酸亜鉛 - Zn(OCOC11H23)2 融点110-120℃
  • リシノール酸カルシウム - Ca(OCOC17H32(OH))2 融点210-220℃
  • リシノール酸バリウム - Ba(OCOC17H32(OH))2 融点117-123℃
  • リシノール酸亜鉛 - Zn(OCOC17H32(OH))2 融点94-102℃
  • オクチル酸亜鉛 - Zn(OCOC7H15)2

用途

滑性効果を活かして合成樹脂錠剤成型時の滑剤離型剤、製紙・金属加工用潤滑剤研磨布紙またゴム工業用打ち粉に用いられる。また、金属塩でありながら油溶性である点を活かし、グリース加硫促進剤、粉末冶金鋳造用材、塗料の乾燥促進剤ポリ塩化ビニル樹脂の塩化水素捕捉などを目的とした合成樹脂添加剤などの分野でも用いられる。

参考文献

  • 皆川源信編著『プラスチック添加剤活用ノート』工業調査会、1996年。ISBN 4-7693-4103-2。 
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