日本改造計画

『日本改造計画』
(にっぽんかいぞうけいかく)
著者 小沢一郎
訳者 ルイーザ・ルービンファイン・陳世昌
発行日 1993年5月・1994年(英語版・中国語版)
発行元 講談社講談社インターナショナル・聯經出版事業
ジャンル 産業政策行政・総合開発
日本の旗 日本中華民国の旗 中華民国
言語 日本語英語中国語
ページ数 258
コード ISBN 4-06-206482-0
ISBN 4-7700-1871-1
ISBN 4-7700-2041-4
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日本改造計画』(にっぽんかいぞうけいかく)は、日本政治家小沢一郎の著書。1993年(平成5年)刊行。2006年(平成18年)に復刻された。

概要

小沢が自民党に在籍していた1993年(平成5年)5月20日に講談社から出版され、実際に書店に並んだのは6月下旬だった。内容は小沢の政策やビジョンをつづったもので、小沢が自民党を離党して、新生党を立ち上げ、細川連立内閣が成立するという政治の激動期において、中心人物の小沢の考えを知るための書として、発行部数72万5000部の年間3位のベストセラーになった。かつて、小沢の師の田中角栄1972年(昭和47年)に著してベストセラーになった『日本列島改造論』の1990年代版ともいわれる。

具体的には、新自由主義的な経済改革、大胆な税制改革(消費税率を10%に引き上げる一方で、所得税住民税を半分に、法人税を「世界最低水準」まで引き下げ)、貿易自由化の推進、首相官邸機能の強化、軍事も含めた積極的な国際貢献政権交代のある二大政党制を可能とする政治改革小選挙区制の導入)などが提唱されているが、これらはその後の政界再編期、そして21世紀にかけての主要な政治課題を先取りしたものであった。

本書発売を契機に、政治家本出版ブームが起こり、浜田幸一日本をダメにした九人の政治家』(1993年12月)、橋本龍太郎『VISION OF JAPAN』(1993年12月)、武村正義『小さくともキラリと光る国・日本』(1994年1月)、渡辺美智雄柿澤弘治伊吹文明『新保守革命』(1994年4月)などが相次いで発刊された。政界再編の流れの中で、国民政治への関心が高まるなか、いずれもベストセラーとなった。

小沢は当初『夜明け』というタイトルを考えており、『改造』というタイトルは出版社の要請で入れたという[1]

ベストセラーになったこともあり、講談社からは英語版を出版する話もあったが、当時講談社の『週刊現代』が、親小沢の小学館の『週刊ポスト』に対抗して、松田賢弥らを起用して小沢批判を繰り広げていたため、この話は一旦消滅したという[2]。講談社に対しては小沢から上層部に対し、「週刊現代は何とかならないか」といった圧力がかけられていたという[3]。英語版は1994年(平成6年)に講談社インターナショナルから出版されている[4][5]。さらに、翌1995年(平成7年)にはペーパーバック版が出版された[6]

1998年(平成10年)に絶版となったが、2006年(平成18年)に小沢が民主党代表となり、また、自民党の安倍晋三の『美しい国へ』がベストセラーになって、政治家本が再びブームになっていたのを機に復刻された。復刻にあたり、講談社学芸図書出版部部長の小沢一郎(著者と同姓同名)が担当編集者となった[7]。さらに『日本改造計画』の続編が執筆されるとの報道もなされた[8]

執筆協力者

本書は小沢の理念をもとに、詳細については小沢の主催する勉強会に参加していた官民の有識者が肉付けしたものとされてきたが、執筆過程の詳細はわかっていなかった。

しかし2014年になって、政治学者御厨貴が明らかにしたところによると、本書の執筆(協力)者は学者が中心で、具体的には「国内政治」は御厨(東京都立大学 (1949-2011)教授)と飯尾潤埼玉大学講師)、「経済」は伊藤元重東京大学助教授)と竹中平蔵(慶応大学助教授)、「外交・安全保障」は北岡伸一立教大学教授)であったという(肩書はいずれも出版当時)[9]。また、税制改革については小沢が官房副長官時代に秘書官を務めるなど側近として知られた香川俊介(大蔵省主計局主査)らが関わったとされる[10]

2023年には、協力者の一人であった北岡が、より詳細な執筆過程について明らかにしている。北岡によれば本書には多くの人物が関わったものの、小沢は多忙な中でも執筆者と時間をかけて面談して研究会を主催し、自ら目を通し加筆訂正するなどしており、小沢の著書と言えるとしている[11]

なお、御厨に対しては本書の続編の企画が浮上した時にも講談社から協力要請があったが、辞退したという[12]

書誌情報

  • 小沢一郎『日本改造計画』講談社、1993年5月20日。ISBN 4-06-206482-0。NDLJP:12755574。https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000176464 (要登録)
  • Ichiro Ozawa (1994). Blueprint for a new Japan: the rethinking of a nation. introduction by Jay Rockefeller; translated by Louisa Rubinfien; edited by Eric Gower (1st ed.). Tokyo: Kodansha International. ISBN 4-7700-1871-1 
    • Ichiro Ozawa (1995). Blueprint for a new Japan: the rethinking of a nation. introduction by Jay Rockefeller; translated by Louisa Rubinfien; edited by Eric Gower (1st paperback ed.). Tokyo: Kodansha International. ISBN 4-7700-2041-4 
  • 小澤一郎 (1994). 日本改造計劃. 全球視野 2. 陳世昌譯. 臺北: 聯經出版事業 

脚注

  1. ^ 朝日新聞』1993年12月18日付朝刊18面。
  2. ^ 元木(2006)、p.232
  3. ^ “「平成挽歌―いち編集者の懺悔録」(14):【公式】データ・マックス NETIB-NEWS”. 【公式】データ・マックス NETIB-NEWS. 2021年2月21日閲覧。
  4. ^ Ozawa(1994)
  5. ^ 小沢一郎著「日本改造計画」の英文版「Blueprint for a New Japan」(講談社インターナショナル、1994年7月)には、ジョン・ロックフェラー4世による序文がある。
  6. ^ Ozawa(1995)
  7. ^ “民主・小沢代表の「日本改造計画」 小沢一郎さんが復刻”. 朝日新聞. (2006年4月18日). http://book.asahi.com/news/TKY200604180374.html 2008年12月23日閲覧。 
  8. ^ “理念対決、小沢氏仕掛け 安倍氏の立候補に対抗し本出版”. 朝日新聞. (2006年8月26日). http://book.asahi.com/news/TKY200608250353.html 2008年12月23日閲覧。 
  9. ^ 御厨貴『日本政治 ひざ打ち問答』(日経プレミアシリーズ)
  10. ^ 清水真人『財務省と政治』(中公新書、2015年)25頁
  11. ^ 中央公論2023年4月号「『日本改造計画』 小沢一郎氏との関わり」
  12. ^ “(語る 人生の贈りもの)御厨貴:9 小沢一郎さんの破壊力にかけた:朝日新聞デジタル”. 朝日新聞デジタル. 2021年2月21日閲覧。

参考文献

  • 元木昌彦『週刊誌編集長 週刊現代・フライデー・Web現代編集長が明かす、スキャンダル、事件報道現場の3300日』展望社、2006年4月6日。ISBN 4-88546-147-2。http://tembo-books.jp/books/books-147-2.html 
  • 本沢一郎『小沢一郎・日本改造計画の危険性』エール出版、1993年10月

関連項目

選挙区
家族・親族
所属政党
関連派閥
主要役職
秘書・元秘書
著書
単著
  • 『日本改造計画』
  • 『語る』
  • 『男の行動美学』
  • 『90年代の証言 小沢一郎 政権奪取論』
  • 『剛腕維新』
  • 『小沢主義(オザワイズム)―志を持て、日本人』
共著
  • 『日米関係を読む』(ジェームズ・ファローズ・松永信雄共著)
  • 『ジョン万次郎とその時代』(川澄哲夫編)
  • 『政権交代のシナリオ―「新しい日本」をつくるために』(菅直人共著)
  • 『小沢一郎総理(仮)への50の質問』(おちまさととの対談)
関連人物
関連項目
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