ベゾアール

魔法的な癒しの効果を持つ石とされ、高価な物と考えられていた。

ベゾアール英語:Bezoar、ベゾアール石)とは、消化器などで見つかる結石である[1]

また、pseudobezoar (偽ベゾアール石)とは、消化器に意図的に入れられた消化し難い物質である[2]。17世紀のイギリスの詐欺事件Chandelor v Lopus(英語版)を扱った裁判記録では100ポンド(現在価値で約200万円)で取引されたとあるように、非常に高価な物として認識され偽物も数多く出回った。

語源

ペルシャ語解毒を意味する pād-zahr (پادزهر) を由来とする[3]

種類

  • 毛髪胃石 - 毛などからなるもの
  • 植物胃石 - 植物性の物からのもの
  • 薬物胃石 - 薬物からなるもの
  • 乳胃石

など

場所
小児や老人など消化器の働きが弱い者や、馬の食道大腸、気管など
ネコなどの消化器の毛玉

歴史

毒に浸せば何でも解毒すると考えられていたが、1575年のフランスで罪人に飲ませたところ苦しんで死んだことから、なんにでも効くものではないと判明した[4]

スクリップス海洋研究所の研究で、ある種のベゾアールがヒ素の毒(ヒ酸塩三酸化二ヒ素)を無毒化することが判明した[5]

関連項目

  • 胃石 - ベゾアールの別名の他、結石疾患以外の消化器内の石のこともいう。
  • 牛黄 - 牛の胆嚢にできる結石で、百病に効くとされた。日本薬局方にも記載されて販売されている漢方薬。現在、ウシやブタの胆汁を加工した人工牛黄が生産されている。
  • 龍涎香 - マッコウクジラの腸内に発生する結石。
  • パサン - ベゾアール・アイベックス(英語版)という亜種がいる。
  • 蛇頂石 - 動物の骨を焼き砕いたもので解毒効果があるとされた。
  • トード・ストーン - ガマカエルの頭部から採れるといわれた解毒効果のある石
  • ゴアストーン(英語版) - 17世紀の在インドゴア州のイエズス会が作った人工ベゾアール
  • ハリー・ポッターシリーズ - 小説・映画ともに「ベゾアール石」が登場する。効用は解毒。

出典

  1. ^ "bezoar" - ドーランド医学辞典
  2. ^ “Pilot study of temporary controllable gastric pseudobezoars for dynamic non-invasive gastric volume reduction”. Physiol. Meas. 31 (2): 131–44. (1 February 2010). Bibcode: 2010PhyM...31..131M. doi:10.1088/0967-3334/31/2/001. PMID 20009188. http://iopscience.iop.org/0967-3334/31/2/001/. 
  3. ^ https://www.etymonline.com/word/bezoar
  4. ^ Stephen Paget (1897). Ambroise Paré and His Times, 1510–1590. G.P. Putnam's Sons. pp. 186–187. https://books.google.com/?id=s2PsYxqqiSIC 
  5. ^ “Archived copy”. 2013年1月16日時点のオリジナルよりアーカイブ。2012年11月30日閲覧。 [dead link]
分類
D
外部リソース(外部リンクは英語)
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