ギュルザ-M型砲艇

ギュルザ-M型砲艇
基本情報
艦種 砲艇
命名基準 ウクライナの都市名
建造所 キーウ造船所(英語版)
運用者

 ウクライナ海軍

 ロシア海軍
建造期間 2012年 -
計画数 20隻
建造数 8隻
次級 ケンタウロス級高速突撃艇(英語版)
要目
満載排水量 54トン
全長 23.0 m
最大幅 4.8 m
機関方式 ディーゼルエンジン
最大速力 25ノット
乗員 5名
兵装
  • KAU-30M(ウクライナ語版)RWS×2基(以下はKAU-30M 1基あたりの兵装)
他にMANPADSも持ち込み可能。
FCS サルマート(ウクライナ語版)電子光学火器管制装置
レーダー デルタ-M(ウクライナ語版) レーダー
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ギュルザ-M型砲艇(ギュルザ-Mがたほうてい)は、ウクライナ海軍砲艇の艦級[1][2]58155計画型装甲小型砲艇ウクライナ語: Малі броньовані артилерійські катери проєкту 58155)とも呼ばれる。

設計

ウズベキスタン向けのギュルザ型砲艇。艇体前部にはBMP-2の砲塔が搭載されている。

本級の基礎設計は、2003年から2005年にかけてウズベキスタン国家保安庁隷下の国境警備隊(英語版)に属する河川艦隊(ウズベク語版、ロシア語版、英語版)向けに2隻建造されたギュルザ型(58150型)砲艇(ウクライナ語版、英語版)がベースとなっている。

沿岸海域の哨戒、警備、小型艦艇との交戦、航行の安全の確保、偵察、輸送などでの運用が可能とされる[3]。船体はステルス性が考慮された設計となっている。

兵装

正面から見たKAU-30M RWS。

兵装としては、KAU-30M(ウクライナ語版)RWSを2基を艇体の前後に配備しており、これらは30mm機関砲と30mmグレネードランチャー、7.62mm機関銃、対戦車ミサイル発射機を装備している。また、携帯式の対空兵器により対空戦闘も可能である[3]

運用

2014年ロシアによるクリミアの併合により、ほとんどの艦艇を失ったウクライナ海軍は、いわゆる「蚊の艦隊」の創設をすることを決定、その計画艦の1種として含まれていたのが本級である[4]

2015年11月11日に1番艦「アッケルマン(ウクライナ語版)」が進水した[5]

ケルチ海峡事件でロシア連邦保安庁国境警備隊に拿捕されたBK-02ベルジャーンシク。操舵室に穴が開いている。

2018年11月25日ケルチ海峡事件が発生、本級の「ベルジャーンシク(ウクライナ語版)」、「ニーコポリ(ウクライナ語版)」がロシア連邦保安庁国境警備隊に拿捕され、「ベルジャーンシク」は損傷を負った。

2022年ロシアのウクライナ侵攻において、本級の「ルブヌイ(ウクライナ語版)」が攻撃を受け撃沈された他、「アッケルマン(ウクライナ語版)」、「クレメンチュグ(ウクライナ語版)」、「ヴィーシュホロド(ウクライナ語版)」がロシア軍に鹵獲され、2022年7月、「アッケルマン」がロシア黒海艦隊に編入された[6]。この他に少なくとも1隻が撃破された[7][8]

同型艦

艦番号 艦名 建造 起工 進水 就役 備考
P174
U174
アッケルマン(ウクライナ語版)
Аккерман
キーウ造船所(英語版) 2012年
10月25日[9]
2015年
11月11日
2016年
12月6日[10][11]
ロシアによるウクライナ侵攻中にロシア連邦軍が鹵獲[12][13]
P175
U175
ベルジャーンシク(ウクライナ語版)
Бердянськ
2012年
10月25日[9]
2015年
11月11日
2016年
12月6日[10][11]
P176
U176
ニーコポリ(ウクライナ語版)
Нікополь
2016年
4月7日[14]
2017年
6月20日
2018年
7月1日[15]
P177
U177
クレメンチュグ(ウクライナ語版)
Кременчук
2016年
4月7日[14]
2017年
6月30日
2018年
7月1日[15]
ロシアによるウクライナ侵攻中にロシア連邦軍が鹵獲[13][13]
P178
U178
ルブヌイ(ウクライナ語版)
Лубни
2016年
4月7日[14]
2017年
6月29日[16][17]
2018年
7月1日[15]
ロシアによるウクライナ侵攻中のマリウポリの戦いで沈没し、ロシア連邦軍が引き揚げ[18][19]
P179
U179
ヴィーシュホロド(ウクライナ語版)
Вишгород
2016年
4月7日[14]
2017年
6月24日
2018年
7月1日[15]
ロシアによるウクライナ侵攻中にロシア連邦軍が鹵獲[13]
P180
U180
コストポリ(ウクライナ語版)
Костопіль
2018年 2019年
4月2日
2020年
9月6日
P181
U181
ブチャ(ウクライナ語版)
Буча
2019年
2月8日[20]
2021年
9月30日
2023年
5月26日[21]

ギャラリー

  • P174アッケルマン
    P174アッケルマン
  • P175ベルジャーンシク
    P175ベルジャーンシク
  • P176ニーコポリ
    P176ニーコポリ
  • P177クレメンチュグ
    P177クレメンチュグ
  • P178ルブヌイ
    P178ルブヌイ
  • P179ヴィーシュホロド
    P179ヴィーシュホロド
  • P180コストポリ
    P180コストポリ
  • p181ブチャ
    p181ブチャ

脚注

[脚注の使い方]

出典

  1. ^ “Украина завершает создание речного военного флота”. web.archive.org (2015年7月5日). 2023年10月20日閲覧。
  2. ^ “На столичном заводе ударными темпами делают бронекатеры для одесского речного дивизиона ВМСУ | Новости Одессы”. web.archive.org (2015年7月6日). 2023年10月20日閲覧。
  3. ^ a b “На Ленинской кузне заложили еще четыре бронекатера Гюрза-М”. web.archive.org (2016年4月11日). 2023年10月20日閲覧。
  4. ^ “"Москітний флот". Заступник начштабу ВМС розповів, як Україна асиметрично захищатиметься з моря | Експрес - онлайн”. web.archive.org (2017年10月1日). 2023年10月20日閲覧。
  5. ^ “"Гюрзу" спускають на воду - відео з коптера — 5 канал”. web.archive.org (2015年11月12日). 2023年10月20日閲覧。
  6. ^ “ロシア海軍、拿捕したウクライナ海軍のGyurza-M級小型砲兵装甲艇を黒海艦隊に編入│ミリレポ|ミリタリー関係の総合メディア”. milirepo.sabatech.jp. 2023年10月24日閲覧。
  7. ^ ぐう・たらお (2022年2月24日). “Oryx Blog - ジャパン: 【独占】欧州の抵抗:ロシアによる侵略でウクライナ側が喪失した兵器類(一覧)”. Oryx Blog - ジャパン. 2023年10月24日閲覧。
  8. ^ “https://twitter.com/UAWeapons/status/1588471103260868608”. X (formerly Twitter). 2023年10月24日閲覧。
  9. ^ a b “Закладка бронекатеров "Гюрза-М" для ВМС Украины”. bmpd.livejournal.com (2012年10月26日). 2018年11月27日閲覧。
  10. ^ a b “Бронекатера "Аккерман" и "Бердянск" вошли в состав Военно-морских сил Украины” (ロシア語). dumskaya.net (2016年12月6日). 2018年11月27日閲覧。
  11. ^ a b “Українським ВМС в Одесі передали нові броньовані катери”. zaxid.net (2016年12月6日). 2018年11月27日閲覧。
  12. ^ “Analysis: Russian Armed Forces capture dozen Ukrainian ships in Berdyansk”. 2023年10月20日閲覧。
  13. ^ a b c d “ВМС України втратили у Маріуполі корабель управління "Донбас" та МБАК "Кременчук"” (ウクライナ語). Ukrainian MOD (2022年4月16日). 2023年10月20日閲覧。
  14. ^ a b c d “Закладено чотири броньовані артилерійські катери для Військово-Морських Сил”. Ukrainian Military Pages (2016年4月8日). 2016年4月8日閲覧。
  15. ^ a b c d “Бронекатери "Вишгород", "Кременчук", "Лубни" та "Нікополь" включено до корабельного складу ВМС”. www.ukrmilitary.com. Ukrainian Military Pages (2018年7月1日). 2018年7月1日閲覧。
  16. ^ “Відбувся урочистий спуск на воду чергового бронекатеру проекту 58155”. Ukrainian military portal (2017年6月29日). 2017年6月29日閲覧。
  17. ^ “Ще один новозбудований катер для Військово-Морських Сил типу "Гюрза-М" спущено на воду”. Ministry of Defence of Ukraine (2017年6月29日). 2017年6月29日閲覧。
  18. ^ “In the seaport of Mariupol, the Ukrainian artillery boat BK-05 "Lubny" was raised from the bottom.” (2022年5月15日). 2023年10月20日閲覧。
  19. ^ “A warship was destroyed in the port of Mariupol” (2022年5月15日). 2023年10月20日閲覧。
  20. ^ “Для ВМС України заклали два бойових катери”. http://uprom.info/. Національний промисловий портал (2019年2月8日). 2019年2月9日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年2月8日閲覧。
  21. ^ “Катер «Буча» поповнив флотську родину” (ウクライナ語). armyinform.com.ua. 2023年7月7日閲覧。

関連項目

ウィキメディア・コモンズには、ギュルザ-M型砲艇に関連するカテゴリがあります。
ギュルザ-M型砲艇
  • アッケルマン
  • ベルジャーンシク
  • ニーコポリ
  • クレメンチュグ
  • ルブヌイ
  • ヴィーシュホロド
  • コストポリ
  • ブチャ

前級 - 次級:ケンタウロス級

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