エンレイソウ

エンレイソウ
福島県会津地方 2008年4月
分類APG III
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 angiosperms
階級なし : 単子葉類 monocots
: ユリ目 Liliales
: シュロソウ科 Melanthiaceae
: エンレイソウ属 Trillium
: エンレイソウ T. smallii
学名
Trillium smallii auct. non Maxim.
シノニム

Trillium apetalon Makino

和名
エンレイソウ(延齢草)
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エンレイソウ(延齢草、学名: Trillium smallii )は、シュロソウ科エンレイソウ属多年草。別名、タチアオイ[要出典]、ヤマミツバ[1]

「エンレイソウ」という呼び名は、他のエンレイソウ属 (Trillium) 植物に対して、またはエンレイソウ属全般を指して用いられる場合もある。

名称

エンレイソウ属につけられた学名Trillium は「3のユリ」を意味し、開花個体が3枚の花弁、萼片、葉を持つことに由来する[2]。シノニムにあるapetalonは花に花弁がないことを表す[2]。エンレイソウの名はアイヌ語の呼び名のエマウリがなまって、延齢の字が当てられたとする説や[2]、古くから胃腸薬や催吐剤などの薬草とされ、命をながらえた人がいたことから延齢草と呼ばれたという説がある[3]

特徴

太く短い根茎から、高さ20-50cmの茎が一本伸び、その先端に3枚のを輪生する。葉は葉柄を持たず、茎から直接生ずる。葉の形状は丸みを帯びたひし形で、直径は10-20cm。ユリ目の葉は一般的には平行脈であるが、エンレイソウの葉は網状脈である[2]。花期は4-6月で、高地では7月頃まで咲く[2]。3枚の葉の中心から短い花柄が伸び、小さなをつける。花は花弁を持たず3枚の緑色または濃紫色の萼片を持ち、横向きからやや下向きに咲く[4]雄しべは6本、雌しべは1本で、柱頭は3裂し子房には稜がある[3]。外花披片は3枚、通常内花披片はないが、稀にあるものもある[5]

分布と生育環境

日本では、北海道、本州、四国、九州に分布し、低地からやや高い山の、落葉樹林のやや湿った場所に生える[6][7]。東アジアでは、サハリン(樺太)南千島に分布する[8]

利用

花後に球形で黒紫色の実をつけ[3]、熟した果実は食用となる[要出典]

エンレイソウは中国には自生しない[9]。近縁種のミヤマエンレイソウの根茎は中国では延齢草根と呼ばれ、古くから胃腸薬や催吐剤などの薬草とされるが、サポニンなどの有毒成分を含む有毒植物であり、過量に服用すれば、嘔吐、下痢などの中毒症状を起こす[1]

その他

北海道大学においては、学内のサークルや会合、機関紙や冊子、敷地内の施設などの命名に、エンレイソウまたは延齢草の名がよく使われている。ただし、大学の校章に使われているのはオオバナノエンレイソウの方である。

近縁種

外部リンク

脚注

  1. ^ a b エンレイソウ e-yakusou.com
  2. ^ a b c d e “エンレイソウ”. www.kahaku.go.jp. 国立科学博物館. 2024年5月14日閲覧。
  3. ^ a b c 山田隆彦監修 2023, p. 44.
  4. ^ “エンレイソウ”. http://www1.ous.ac.jp. 岡山理科大学 研究・社会連携機構 自然フィールドワークセンター. 2024年5月14日閲覧。
  5. ^ “エンレイソウ”. matsue-hana.com. 2024年5月14日閲覧。
  6. ^ 山田隆彦監修 & 2023年, p. 44.
  7. ^ “エンレイソウとは”. 趣味の園芸. NHK出版. 2024年5月14日閲覧。
  8. ^ “Japanese trillium”. hosho.ees.hokudai.ac.jp. 2024年5月14日閲覧。
  9. ^ “エンレイソウ Trillium apetalon シュロソウ科 Melanthiaceae エンレイソウ属 三河の植物観察”. mikawanoyasou.org. 2024年5月14日閲覧。

参考文献

  • 山田隆彦監修『見わけがすぐつく 野草・雑草図鑑』成美堂出版、2023年1月20日、44頁。ISBN 978-4-415-32814-0。 
典拠管理データベース: 国立図書館 ウィキデータを編集
  • 日本